Circulation of Lives
いのちの循環
会場のビジュアルデザインは、「いのちの循環」というコンセプトと、
デザインシステムの設計思想であるデザインポリシーにもとづき、
会場全体をひとつの「未来の生態系」に見立てて構築しています。
この生態系は、人間だけでなく動物や昆虫、植物、石や水といった自然物から、
AIやバイオ技術によって生まれた存在までも「いのち」として捉え、
互いに融け合い、響き合う、これからの共生のあり方を示しています。
世界が分断と対立を深める今、参加と共創による「オープンデザイン」が目指すのは、
いのちといのちが出会い、つながり、循環し、新たな創発が生まれる未来。
自然中心でもなく、システム中心でもなく、人間中心でもない、「生命中心の未来」です。
EXPO 2025 Design System
Design Element IDの
愛称="こみゃく"について
「こみゃく」は、大阪・関西万博のデザインシステムにおいて、“いのち”を象徴する存在として生まれたIDエレメントの愛称です。
本来はデザインシステムの一部として設計されたものですが、インターネット上で自然発生的に「こみゃく」と呼ばれはじめ、多くのクリエイターやアーティストにも親しまれる存在となりました。
一つひとつ姿やかたちが異なる「こみゃく」は、多様な“個”と“つながり”の象徴。万博会場でもさまざまな場所に姿を現し、空間に“いのち”を吹き込みます。
このサイトでも、その親しみを込めて「デザインシステムID」ではなく、「こみゃく」と呼んでご紹介しています。
EXPO2025 Dressing
あらゆる“いのち”と、会場を彩り、
未来を彩る。
夢洲の会場を彩る「ドレッシング」は、モニュメントやフラッグ、サイン、アートなど、
あらゆるデザインに「八百万(やおよろず)のいのち」が宿り、空間全体に生命を吹き込んでいます。
この会場は、多様ないのちと世界が響き合い、交わり合うためのオープンなプラットフォーム。
日本に古くから根づく「すべてのものにいのちが宿る」という世界観を、
現代の視点で拡張し、さまざまなアーティストやクリエイターたちとの共創によって、
装飾という枠を超えて訪れる人を未来へと導く、生命力あふれる景観が立ち上がっています。
EXPO2025モニュメント
会場の中心、ウォータープラザを背にして立ち上がるのは、堂々とした「EXPO 2025」の文字。このモニュメントは、世界中から訪れる来場者たちを迎え入れ、出会いと記憶の起点となる存在です。文字を形づくっているのは、特別にデザインされたオリジナルのタイプフェイス。一人ひとつの文字は、いのちのかたちを持った「こみゃく」が変身したようにも見え、有機的で、どこか生命体のような躍動感を放っています。
ミャクミャクモニュメント
「いらっしゃい」
東ゲートから入場してくる人々を、正座でおじぎをしながら迎え入れるのは、巨大なミャクミャクの坐像。「いらっしゃいませ」の心をかたちにしたその姿は、日本で古くから「幸福を招く縁起物」として親しまれてきた福助人形に着想を得てつくられました。日本的なお出迎えのスタイルとともに、台座やサインも「和」のしつらえを施して、世界中の人々をあたたかく迎え入れます。
ミャクミャクモニュメント
「ワクワク」
西ゲートから訪れる人々を、大きく手を広げたポーズで迎え入れるミャクミャクの巨大な立像。その手がリングにタッチしているようにも見えることから名付けられた「リングタッチポーズ」で、体はリングに向けたまま、半回転して来場者に振り返るその姿は、「ようこそリングへ!」という歓迎のメッセージそのものです。記念撮影には、ぜひミャクミャクと同じポーズで。会場に広がる“ワクワク”を、写真に写し込んでみてください。
バナーフラッグ
万博のデザインエレメント「WORLD」から生まれたデザインをもとに、一つひとつが異なる姿で風にたなびくバナーフラッグ。「ひとつとして同じものはない、多様ないのち」というメッセージが込められています。会場マップやサインデザインと連動したカラー設計により、フラッグの色を見れば、自分が今どのエリアにいるのかを直感的に知ることもできます。空間を色彩でナビゲートしながら、風による動きも生まれ、会場全体に生命を吹き込んでいきます。
2.5Dモニュメント
万博のデザインシステムにおいて、「多様ないのちが融け合い、響き合う未来の生態系」を描いた象徴的なデザインエレメント「WORLD」。そのエレメントを立体的に現実の空間へと持ち出したのが、4種類の2.5Dモニュメントです。会場の各所にフォトスポットとして設置され、来場者たちはその前後に立ったり、モニュメントの間に入ったりすることで、自分自身もデザインシステムの世界に入り込み、共創と参加によって広がるオープンデザインを体感することができます。
3Dモニュメント
異なるいのちが集い、未来を共に生み出すための「共同体」をシンボライズしたデザインエレメント「GROUP」。立体的に膨らんだ細胞(セル)のかたち、ふわふわした不思議な地面、そこに集い思い思いに楽しむ世界の人々。GROUPが描く「未来社会の共創」を、からだ全体で体感できるモニュメントです。
3D遊具モニュメント
デザインシステムに登場する“目玉”のような細胞をモチーフにした、巨大でやわらかな遊具。クッション素材でできたこのオブジェは、登ったり跳ねたりして全身で楽しむことができます。誰もが思わず心躍る、いのちのリズムを体で感じることのできる遊び場です。
フェンスカバー
このフェンスカバーは、万博のデザインエレメント「WORLD」から生成された、セルを持たないパターングラフィック。キャラクター性を排した抽象的なデザインが、空間に調和しながらも視覚的なインパクトを生み出します。パーテーションの目隠しとしての機能を持ちながら、面的に空間を彩り、会場全体に華やかさとリズムを添えるデザインです。
ベルトパーテーション
空間を仕切ったり、行列を安全なかたちに整えたり、という機能的な役割を持つベルトパーテーションにも、万博のデザインエレメント「WORLD」から生まれたグラフィックが息づいています。コアグラフィックを切り取り、繰り返し配置することで生まれるパターンは、道具としての実用性を保ちながらも、一貫性のあるデザインによって会場に彩りと調和をもたらします。
Co-MYAKU Sign
案内先は、ワクワクする未来。
会場を訪れる子どもたちのためにデザインされた、遊び心あふれる案内サイン。
EXPO 2025の世界観をまとった八百万(やおよろず)のいのち「こみゃく」たちが、
子どもたちの好奇心をくすぐりながら、会場の道案内だけでなく、
未来につながる発見をナビゲートします。
サインには、ケンケンパ、あみだくじ、ペア探し、アンビグラム(逆さにしても見える絵)、
ストーリー仕立てのものなど、思わず体を動かしたくなる楽しい仕掛けを散りばめています。
Co-MYAKU '25
あちこち、いのち。
25組のアーティストたちとともに、多様な「いのち」を会場に宿すアートプロジェクト。
「Co-MYAKU」は、Co-Creation(共創)の“Co-”と、
“いのち”や“脈”を意味する“Myaku”を組み合わせた造語です。
そして同時に、デザインシステムにおいて「個のいのち」を体現する
「こみゃく」たちの存在も重ね合わせています。
万博会場の壁や床に、アーティストがそれぞれの個性や技法を活かして描き出す
「八百万(やおよろず)のいのち」。
それは、単に賑わいを生む装飾を超え、多様な才能が響き合いながら、
これからの「いのちのかたち」を共創する試みです。
そして、このプロジェクトは、2025年の先へと続く「いのちの循環」を、
世界へ広げていくチャレンジでもあります。